タイトル

  1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 「CSR見学会 〜NPO×企業の協働を考える〜」開催レポート

「CSR見学会 〜NPO×企業の協働を考える〜」開催レポート

2018年9月22日(土)に「CSR見学会 〜NPO×企業の協働を考える〜」が開催されました。 この企画は、CSRに取り組んでいる、もしくは取り組もうとしている企業・事業所や、事業を協働で取り組もうとするNPO法人・市民の方を対象に実施されました。

CSRはCorporate Social Responsibilityの略で、「企業の社会的責任」を意味します。企業の社会的責任とは何なのか。それがどんなふうにNPOに関連し、地域にどのように還元されるかについて考える場となりました。

開催当日は、まず静岡県総合社会福祉会館シズウエルに集合し、静岡県ボランティア協会のバス『ふじのくに愛輪2号』に乗車。このバスは、通常はボランティアを必要とする方々のための活動・移動手段として使用され、運転もボランティアによって運行されています。過去には、被災地へのボランティア派遣等にも利用されたこともあります。

全体の進行は、「静岡市番町市民活動センター」センター長 五味さんが務めてくださいました。まずは、静岡市駿河区八幡にある「アオイネオン株式会社(以下、アオイネオン)」へ。

CSR活動を通じて、社会に幸せのムーブメントを起こす「アオイネオン株式会社」

「アオイネオン」は、CSR活動報告書閲覧サイト「CSR JAPAN」において、2014年から3年連続でレポートアクセスランキング日本一の会社。有名企業がランキングに並ぶ中の快挙で、CSR活動においては、全国から注目を集めている企業です。
こちらでは、「アオイネオン」CSR統括マネージャの萩野さんから、CSR活動の一部を紹介していただくとともに、ネオン管づくりの現場見学会が開催されました。

「アオイネオン」の業務内容は、ネオン・広告塔・館内サインの企画・設計・施工・検査診断。もともとはネオンを主体としていましたが、LEDの台頭に伴い、現在ネオンの需要は全業務のうち0.5%程度といいます。
需要減少に伴い、(公社)日本サイン協会認定ネオンマイスターの資格を持つ職人も、その数を減らしつつあります。減りゆくネオンをブランディングすることはできないか。「アオイネオン」では、ネオンが持つ「創造性」のチカラで、社会に幸せなムーブメントを起こすリブランディングを導き出したいといいます。
看板照明などの広告塔が排出するCO₂と同等分の森林整備・保護活動などを実施。これは「カーボン・オフセット」と称される取り組みです。

見学会では、ネオンマイスターの横山さんによるネオン管づくりの様子が公開されました。作業は非常に難しそうで、まさに職人技。ぜひ受け継いでいってほしい技術です。

『アオイネオン』では、地元の公園へのイルミネーションの寄贈したり、地元小学校の児童・保護者をネオン製作工房へ招待し、地元の職人による「ものづくり」を伝える機会を設けたりするなど、地域社会にも貢献しています。

他にも、NPO法人と協働し、世界エイズデーのシンボルマーク「レッドリボン」を造形したネオンを製作・展示するなど、団体、病院、町、学校、マスメディアなど、さまざまな企業・団体と協働活動を行なっているそうです。リブランディングすることで、テレビ、雑誌、映画、ミュージックビデオ、ファッションショーなど、新しい市場を開拓できるようになったのも取り組みの成果と言えます。
「CSR活動を行うことで、ネオンの新しい価値を創造できました。ビジネスだけでなく、社会に役立てることで、地域や社会との接点を増やすことができました」と、荻野さんは締めくくります。

地域貢献活動を行うことで、建設業の啓蒙活動を実践する「平井工業株式会社」

続いて一行が訪れたのは、麻機遊水池。ここでは、毎年7月の最終土曜日に、「平井工業株式会社(以下、平井工業)」が「遊水池のいきものをさがそう+ECO」というイベントを実施しています。

案内をしてくださったのは、平井工業の総務部長の上﨑さんと、イベントの担当者の方。「平井工業」は、地元の建設会社として、主に公共・民間工事を施工している企業です。中でも、遊水池における工事は、30年以上に及ぶといいます。遊水池には、草花、虫、魚、鳥など多様な生物の住処となっており、在来種や希少種も生息しています。

2005年からスタートし、2018年で13回目となった「遊水池のいきものをさがそう+ECO」。(※2018年は台風の影響で中止)建設業として工事を行うだけでなく、地域貢献をし、付加価値も提供したいという思いから始まった企画だそうです。
イベントでは、周辺小学校の生徒やその家族を対象に、昆虫・植物探しや、泥投げ、魚採り、麻機地区の伝説や、ハスの葉にジュースを入れて飲む昔遊びの再現などを企画。生物の多様性を知ってもらったり、大雨の際には水を貯めて災害を低減する役割を果たす遊水池の目的と機能を理解してもらったりするなど、地域の環境、自然、歴史、文化を普及する活動にもなっています。

開催当初は、人が全く集まらなかったそうですが、今では、定員の150名があっという間にいっぱいになってしまうほど盛況なイベントになりました。人手不足の建設業が、地域の中で求められる企業になるためにも、地域貢献やボランティア活動などのCSR活動は、非常に大切だと感じているそうです。『平井工業』では、麻機ウエットランドクラブや、行政との協働を重ねながら、「企業の社会的責任」を果たしています。

教育・スポーツ・文化・などを通じて、地域社会の発展に寄与する「静岡ガス株式会社」

続いて訪れたのは、静岡市駿河区池田にある「静岡ガス株式会社(以下、静岡ガス)」の静岡支社。「静岡ガス」は、都市ガスの製造・供給および販売、LPGの販売、発電および電力の販売、リフォーム・ガス機器の販売、ガス工事を行っている企業です。
「当社は『地域社会の発展に寄与するため』を企業理念としており、地域の方々の発展とともに信頼される企業を目指したい」と、静岡支社長の北川さんは話します。
エネルギー・環境教育、エコ・クッキング、自然観察教育などの教育を通じた地域との関わりから、学童軟式野球大会、コンサートの開催など、スポーツ・文化芸術を通じた地域への関わり、ガス灯の寄贈といったまちづくりを通じた地域との関わりまで、地域社会とのコミュニケーションを積極的に行っています。

今回、見学で訪れたのは、2010年に設置されたという静岡支社内にある「静岡ガスふれあいガーデン」と名付けられ、環境教育の役割も担っているビオトープ。
近隣の子どもたちに向け、ザリガニの観察会などを開催しています。始めた当初の見学者は、年間40名ほどだったそうですが、今では、2000人以上に及ぶといいます。

東京ドームの約1.5倍ほどあるという広大な敷地は、もともと半分程度は湿地帯だったそうで、今では、4カ所の池を残すのみ。静岡平野に生息していた静岡メダカの原種が現在も確認できるほか、2年ほど前からは、水路を通じて琵琶湖の固有種であるセタシジミが繁殖しだしました。

JR東静岡駅からほど近いこの場所で、普段、あまり見ることができない多種多様な生物を観察できる貴重な機会となり、参加者からは、生物について多くの質問が投げかけられていました。

企業とNPO・市民との協働を考える座談会・懇親会

最後は、静岡ガス静岡支社内に場所を移し、座談会が開催されました。
座談会の司会を務めてくださったのは、CSR検定なども主催されている「ふじのくにNPO活動センター」センター長の溝口さん。
登壇いただいたゲストは、「アオイネオン」の荻野さん、「平井工業」の上﨑さん、近藤さん、「静岡ガス」の北川さん、そして「静岡市番町市民活動センター」の五味さんです。
まず初めに、それぞれの企業から簡単な会社案内とCSR活動について、説明していただきました。

五味さん:「静岡県は、中小企業も多く、多様性があります。静岡の豊かな風土を考え、企業も利益を追求するだけでなく、静岡を始め、日本全体をよくしていこうという取り組みが最近、活発になっています。その取り組みが、CSRと名付けられています。
また、一方でNPOや市民団体は、よりよい社会にしていこうという強い志を持っています。いずれも、よりよい静岡・よりよい日本にしようと取り組んでいます。今回は、企業のCSRがどのようなものなのか、そして企業側にはNPOや市民団体の志を知ってもらいたいと思い、今回の見学会・座談会・懇親会の場を設けました。
未来に向け、何らかのコラボレーションが育まれれば幸いです。」

荻野さん:「『アオイネオン』でCSR活動を始めた当初は、ビジネスと結びつけづらいものがありましたが、今は、世界的にもビジネスとCSRは密接に関わりを持つようになってきました。私は、『リーダーシップをとるためのCSR』と『利益につなげるためのCSR』という2つのビジョンを掲げています。持続可能な社会にするために、CSRはとても大切な役割を果たしていると考えています。」

近藤さん:「『平井工業』では、公共事業の工事も請け負っていますが、過去に施工したインフラ工事も、今、老朽化が進んでいます。作ったものを管理するのも、作った会社の社会的責任だと考えています。不具合がないかなど、CSRを通じて積極的にPRしています。高所部分はドローンを使用して、状態を確認することも。このドローンは、『遊水池のいきものをさがそう+ECO』のイベント時にも使用し、同様にPRを行っています。」

北川さん:「『静岡ガス』では、CSR活動が直接的な利益に結びつくことはあまりありませんが、地域のお客さまに信頼していただける企業になるために、CSR活動はとても重要だと考えています。今は、オール電化が進み、火を見たことがないという子どももいるといいます。食育を通じて、ガスについても知ってもらえたらと思っています。」

-----------

溝口さん:「CSRについて、従業員への研修や教育を行っていますか?」

北川さん:「『静岡ガス』では、社員に“天然ガスの普及が環境貢献にもつながる”という意識を持って業務にあたるよう、取り組んでいます。ISO14001の認証を取得していますが、さらに一歩進んだ自社独自の環境教育を行い、環境へ意識を高めています。」

近藤さん:「『平井工業』でもISOを取得し、会議などを通じて社員への教育はもちろん、地域への説明責任も重要だと考えています。」

荻野さん:「『アオイネオン』でも、教育・啓蒙活動は定期的に行っていますが、時に限界を感じる時もあります。CSRと従業員の距離感を近づけることが大切だと思います。ネオンとCSR、売り上げとCSRなど、身近な業務と結びつけ、CSRへの距離を近づけるように工夫しています。」

-----------

溝口さん:「『アオイネオン』さんは、CSRをしっかりとブランディングしている企業ではありますが、CSRを表に出していない企業もあると思います。『平井工業』さんと『静岡ガス』さんはいかがでしょうか。」

近藤さん:「『平井工業』では、今はまだ、CSR活動を前面には押し出していませんが、公共工事は地元の方々と密着して行う必要があります。当社が施工してよかったと思っていただけるような活動をしていきたいですね。」

北川さん:「『静岡ガス』でも、まだCSR活動を前面には打ち出していない状態なので、情報発信方法を改めて見直していく必要があるかと感じました。また、もっと多くの人々を巻き込んで活動していく必要もあるかと思います。ビオトープや食育関係は、連携先を見つけやすいのですが、これからは新しいニーズやサービスも検討していければと考えています。これまで関わることがなかった団体とも関わり、情報共有していくことが大事。今後の企業戦略の中に検討してきたいですね。」

荻野さん:「NPOの方から、もっと具体的な活動の事例や見せ方なんかを提案していただけると、企業側としてとてもやりやすいですよね。」

五味さん:「企業も、今は、社会性を問われる時代になりました。社会性を出してもらえると、市民や市民団体も、企業の社会的な姿勢が伝わり、関わりが持ちやすくなると思います。」

-----------

溝口さん:「会場の中からも、ぜひご意見を出していただければと思います。いかがでしょうか。」

参加者・大石さん:「『平井工業』さんは、ベーテル麻機会と一緒に活動を行っています。今回のように、その地域にとってどういう企業なのかということを説明していただける機会を、ぜひ一緒に設けていきたいなと思います。」

参加者・弓削さん:「『NPO法人まちなびや』では、『コドモンデ』という静岡で働く大人を写真と記事で紹介する冊子を発行しています。過去には、『静岡ガス』さんにもご登場いただいたこともあります。企業とコラボするためには、双方を知る必要があると思います。本日の取り組みは、企業の中に入って学べるよい機会になりました。」

参加者・関根さん:「静岡県舞台芸術センター(SPAC)に所属していますが、専属ではないので、個人でも活動をしています。最近、社会的な活動もできればと、病院や養護施設などの子どもたちに、読み聞かせや音楽劇、紙芝居などを無料で行っています。まだNPOの設立には至っていないため、活動は、企業から寄付を募って行っています。演劇を通じて社会貢献できればと考えています。たとえば、『アオイネオン』さんのネオンサインの歴史を紙芝居にまとめるなど、楽しめる企画を一緒に検討できればと思いました。」

-----------

座談会終了後は、NPOや市民団体と、企業との名刺交換会・懇親会も開催されました。今回の活動を通じて、CSRを起点に縁がつながり、新しい取り組みが生まれるかもしれません。

(2018.9.22)

更新日: 2019/04/25 () 13:46

  • Line 80
静岡市をもっと暮らしやすく、理想の都市にするために
あなたもまちづくりに参加してみませんか。
まちづくりには様々な参加方法があります。
興味があること、得意なことから探してみてください!
イベントに参加 地図で検索 写真投稿 活動団体を探す・
連絡する