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静岡県公安委員会指定 犯罪被害者等早期援助団体「静岡犯罪被害者支援センター」

 静岡市

犯罪や交通事故の被害に遭われた方々のために、電話相談をはじめ、カウンセリングや法律相談、裁判所や検察庁、病院への付き添い等を行っている「認定NPO法人 静岡犯罪被害者支援センター」。静岡市葵区両替町に事務局を置き、静岡県内で犯罪被害に遭われた方々への支援を行っています。2019年12月初旬、センターの事務局にて、専務理事兼事務局長・河村芳光さんと、事務局次長・藤原智代さんに活動についてのお話を伺いました。

交通事故や犯罪被害に遭われた方やそのご家族、ご遺族は、十分な支援を受けられず辛く深刻な状況に置かれています。2005年には、「犯罪被害者等基本法」が施行され、それに基づき「犯罪被害者等基本計画」が策定されました。静岡市でも犯罪被害に遭われた方やそのご家族、ご遺族の被害等を軽減し、一日も早く平穏な生活を取り戻すことができるよう施策に取り組んでいるといいます。

被害に遭われた方々が困っている時にサポートを行う

1998年に設立され、2007年に静岡県公安委員会による「犯罪被害者等早期援助団体」指定、そして2014年に「認定NPO法人」の認定を受けた静岡犯罪被害者支援センター。静岡県公安委員会の指定を受けていることから、警察で被害者や被害者ご家族の同意を得られた場合、センターから被害者や被害者ご家族へ連絡ができるようになっています。犯罪被害者支援センターは各都道府県に設置されていますが、静岡犯罪被害者支援センターは全国でも比較的設立が早く、9番目に設立されました。

静岡犯罪被害者支援センターでは、次のような支援を行っています。

●相談事業
犯罪被害者から精神的な悩みや法律・裁判についての悩みなど、専門的な訓練を積んだ相談員が相談に応じています。まずは電話での相談が中心ですが、場合によっては対面の相談を行い、また弁護士や臨床心理士などの専門家への紹介も実施しています。弁護士は、静岡県弁護士会に犯罪被害者支援委員会が設けられており、こちらを通じて初回は無料で法律相談ができるようになっています。

●直接支援事業
被害に遭った後は裁判所、病院、警察署、検察庁などへ足を運ぶこととなりますが、一人で向かうには大きな不安が伴います。また報道関係者への対応は難しいものです。要望に応じて、こういった事案に対し、付き添い支援も行っています。また、犯罪被害者等で構成される自助グループ(静岡にある殺人事件のご遺族による支援の場「紫苑の会」と、浜松にある交通事故のご遺族による支援の場「浜松自助会」)への支援も実施。その他に、犯罪被害者等給付金の申請手続きの補助、身辺サポートの補助等も行っています。

センターへ寄せられる相談件数は、年間300件ほど。
性犯罪の被害者が多いそうですが、深刻な悩みを抱えられている方は複数回、相談を寄せると言います。
自分の話に耳を傾けてくれる存在がいるだけでも、気持ちが楽になれるもの。
電話相談だけで解決できる事案も多いそうです。

犯罪被害者支援ボランティアの養成

被害者支援を行うボランティアの養成にも力を入れています。

養成講座では、被害者支援の歴史と現状や守秘義務について、警察や検察庁における支援、被害者の心理と対応法、裁判の流れ、相談やカウンセリングの方法等を学ぶ10講座ほどのカリキュラムが組まれています。センターでのボランティアの仕事は、被害者やご遺族と接するため、非常にデリケートな問題をはらんでいます。ときには二次被害が発生してしまう可能性も。そのため養成講座終了後も、年4回ほど、研修の場を設け、継続的なサポートを行っているそうです。

ご遺族の方や定年退職されて活動に関心がある方、カウンセリングの勉強をされた主婦の方など、さまざまな方が相談員として活躍しています。専門的な研鑽を積んだボランティアは現在30人ほどいるそうですが、裁判員裁判になると、連日出廷が必要になるので、なかなかボランティアの確保も難しくなっています。2019年は5人の応募があり、現在養成中。まだまだ人手が不足しているので、ぜひご興味がある方はセンターまで声をかけてほしいとのことです。

2019年11月29日「犯罪被害者等支援講演会 in しずおか2019」を開催

毎年11月25日〜12月1日は犯罪被害者週間が実施されています。この「犯罪被害者週間」の期間中、犯罪被害に遭われた方々が置かれている状況や、そうした方々への配慮の大切さについて、集中的な啓発活動を行っているそうです。この「犯罪被害者週間」に合わせ、静岡県、静岡県警察、静岡市、静岡犯罪被害者支援センターでは、毎年「犯罪被害者等支援講演会」を開催しています。

2019年11月29日に静岡市葵区呉服町の「札の辻クロスホール」で行われた「犯罪被害者等支援講演会 in しずおか2019」では、加藤裕司さんを講師に迎え、「あすを生きる!」をテーマに講演を行っていただきました。
加藤さんは長女であるみささんを亡くしています。
みささんは、2011年に岡山市内の会社敷地内倉庫にて、元同僚男性に暴行・殺害された上、現金等を奪われ、大阪市内で無残に遺体を遺棄されました。

加藤さんは、被害者参加制度を利用した裁判員裁判に参加。加害者は裁判員裁判で死刑判決を受け、2017年に死刑が執行されています。事件解決後、全国犯罪被害者の会「あすの会」に入会し、活動をスタート。2018年に同会解散後は、犯罪被害者の会「つなぐ会」として主に関西地区で活動を続けています。

当日、会場には多くの参加者が訪れ、加藤さんのお話に耳を傾けました。犯罪被害に遭われた方をはじめ、警察や静岡県、静岡市の関係者が訪れ、定員200名を超えるたくさんの方が集まったそうです。「犯罪被害者等支援講演会 in しずおか」は、毎年11月25日〜12月1日の犯罪被害者週間に合わせて開催されているので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。過去には、交通事故で亡くなられた方のご遺族による講演や、パネルディスカッション等が行われたそうです。入場無料で申込も不要とのことです。

中学・高校における「命の大切さを学ぶ教室」の開催

毎年、静岡県内の中学・高校で「命の大切さを学ぶ教室」も開催。応募多数のため、毎年、学校を変え、6校ほどで実施していると言います。これからの社会を担う子どもたちに、犯罪や交通事故による被害に遭われた方や、子どもを亡くした方の講演は、犯罪被害者支援の理解を深めることはもちろんですが、子を思う親の気持ちや命の大切さ、家族・友人の大切さを改めて考える機会になっています。

今後の課題。被害に遭われた方々に支援の場があることを広めたい

センター設立から20数年。警察から被害者の方へセンターの案内はあるということですが、それでもまだまだ認知度は低いと言います。現在、賛助会員による寄付や募金等でセンターを運営していますが、広報活動への予算配分は難しくなっています。

そして、各地方自治体における犯罪被害者等支援条例の制定が急務と言います。全国的でも制定されている自治体はわずか2〜3割程度。センターからも働きかけを行っているそうですが、国民の認知度が低いこともあり、なかなか制定には至りにくいそうです。
犯罪被害により働き手を失ったご家族の方々は、精神面ではもちろんですが、金銭的にも、時には居住にも困難な状況に陥ります。時には様々な機関をたらい回しにされることも。


そんな時に支援の場や支援金があると、被害者の方々の負担も幾分かは軽くなるかと思われます。

最後に、センターから次のようなコメントをいただきました。
「被害に遭わないことが一番ではありますが、もし被害に遭ってしまったら、一人で悩まずに、ぜひセンターへご相談ください。そして、被害者の方々を地域で支えていけるよう、ご支援・ご協力をお願いします」。

犯罪被害は、自然災害と同じで、いつ自分の身に起こってもおかしくないもの。備えておくことはとても大切なことです。犯罪被害に遭った時に、センターの存在があるのはとても心強いもの。その存在を知ることはもちろん、地域全体で支援していくことが大切です。
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更新日: 2020/01/23 () 11:58

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