企業や家庭など、日常生活で排出される廃棄物について、『集める』『運ぶ』『再生する』形で企業活動を行っている兼子グループ。主に古紙の回収と運搬から、それを再利用して製紙するまでの工程を一貫して行っています。古紙の行政回収などは「特定非営利活動法人 資源リサイクルネットワーク」で実施。「兼子グループ」のCSR活動や「資源リサイクルネットワーク」の活動について、「株式会社 兼子」の管理部顧問・窪田恒利さんと、管理部部長・兼子裕章さんにお話を伺いました。
「兼子グループ」では、旧・清水市(現・静岡市清水区)だった時に、資源ゴミの回収ができないかという打診を受け、2001年に「特定非営利活動法人 資源リサイクルネットワーク」を設立。旧・清水市内の古紙・古布のテスト回収を開始しました。そして2002年頃に、ゴミ集積所などの決められた場所に集められた古紙・古布の本格回収をスタートしました。静岡市と清水市が合併し、静岡市清水区になった現在も、この活動は続けられています。
7〜8年頃前からは近隣の幼稚園や小学校からの見学を受け入れ、環境学習の協力を行っています。子ども達に古紙を持ってきてもらい、古紙の回収車両に投げ入れるなどの体験をしてもらう他、小学生に向けてはDVDを使った30〜40分程度の座学と、工場見学を実施しています。古紙を集め、それを溶解し、再生紙として生まれ変わるという一連の工程を行っている会社なので、「ゴミも分別すれば資源になる」ということを、実際に目で見て、体験しながら学ぶことができます。
地元自治会との共生を目指し、10年ほど前から「兼子グループ」近隣で、毎月第2・4火曜の朝、ゴミ拾いなどの清掃活動をほぼ全員で行っています。始めた当初は1人1枚のスーパーの袋にたくさんのゴミが集まったそうですが、今ではゴミも減っているようです。また、年2回行われる、地元自治会の側溝清掃にも、男性社員を中心に協力しています。作業をしていると、地元の方から声をかけてもらうことも多く、交流にも繋がっているようです。
IT化も進み、雑誌や新聞紙などの古紙は以前に比べて随分と減りましが、今は、ネットショッピングが進んでいるので、段ボール資源は増えています。そして今後は、環境に配慮し、ビニールやプラスチック素材の使用量が減り、紙の使用量が再び増えることも考えられます。
近年、古紙の市場価格が下がり、継続に課題を抱えています。古紙回収には車輌費、人件費等がかかるからです。これまでは「資源リサイクルネットワーク」が収集してきた古紙を、「兼子グループ」が企業として買い取る形で運営してきましたが、古紙を集めても、逆にお金がかかる時代になるかもしれません。そうなってしまうと、古紙はリサイクルされずにゴミとして出されてしまうかもしれません。
現在「兼子グループ」では、プラスチックや紙の代替素材「LIMEX(ライメックス)」に注目しています。ライメックスは、石灰石を主原料とした製品で、食器やレジ袋、名刺、ボールペンなどに使われており、リサイクルも可能。今は神奈川県では、いくつかの大手企業などがリサイクル回収・再利用に取り組んでいるそうです。「兼子グループ」には、神奈川県にも支社や工場を持つことから、この回収に協力をしています。すでに神奈川県では、行政や企業の間でも名刺やクリアファイルなどの活用が進んでおり、「兼子グループ」では、現在、試験的に行っているリサイクル回収について、2021年までの構築を目指しているそうです。静岡での普及も進むといいですね。
「兼子グループ」は、幼稚園や小学校からの工場見学を受け入れ、環境学習を実施している企業です。地域活動にも協力的で、環境に優しいサプライチェーンの構築にも努めています。環境問題が深刻化する昨今、地域と企業が協力してできることを一緒に模索してくれるかもしれません。
更新日: 2020/03/31 (火) 13:17