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「オンラインシンポジウム『2030年に“市民がつくるまち、静岡市”これからどうつくる?』第4次市民活動促進基本計画について考えよう」

 静岡市

2021年10月9日(土)13:30〜16:30に、「静岡市第4次市民活動促進基本計画」へ多くの市民の声を届けるため、これからの静岡市の市民活動を考えるオンラインシンポジウムが開催されました。シンポジウムの様子をご紹介します。

今回のオンラインシンポジウムの内容とは?

オンラインシンポジウム「2030年に“市民がつくるまち、静岡市”これからどうつくる?-第4次市民活動促進基本計画について考えよう」は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、zoomを使ったオンラインの形で開催。市民から13名が参加し、ゲストや運営スタッフを含め合計23名で行われました。
前半は「静岡市第4次市民活動促進基本計画」の基礎知識を学ぶ場として、基本計画の詳しい紹介や、静岡市で市民活動を行っている3人をゲストにお招きにし、トークセッションを実施。後半はゲストや参加者が各グループに分かれ、自由に対話をする場が設けられました。

■ゲスト(パネラー)
木下聡(きのしたさとし)さん
しずおかSDGsネットワーク代表/あさはた緑地管理事務所所長。一般企業に5年間勤務後、青年海外協力隊(モンゴル・環境教育)に参加。帰国後は国際協力NGO難民を助ける会[AAR Japan]に入職。2018年7月に退職し、主夫兼フリーランスファンドレイザーに転身し、静岡市にてNPOの支援やSDGsの勉強会、普及活動などを実施。2021年4月からは静岡市のあさはた緑地公園の管理運営に携わっている。今年度の市民活動協議会の委員も務める

田中志保(たなかしほ)さん
シングルペアレント101代表/一般社団法人1×1理事。10年前にシングルマザーとなる。静岡市人材養成塾修了後、2014 年に団体設立。 コミュニティ財団、困窮者支援団体で働いた後、母子寡婦福祉団体に入職。「静岡市ひとり親家庭相談窓口」相談員として、福祉事務所で5年働き、今年4月に退職。当事者として支援者として「ひとり親でも安心して暮らせる社会」を目指し、2つのNPOで活動中

弓削幸恵(ゆげゆきえ)さん
NPO法人まちなびや代表理事。神奈川県横浜市出身、1998年に来静。国際理解教育の任意団体を設立後、静岡市教育センターにて学校教育に関わる。2005年「子どもと地域をつなぐ」まちなびやの活動をスタート。駄菓子屋さん、こども10円商店街、まちのおしごと図鑑「コドモンデ」発行、出張授業等のキャリア教育支援など取り組みは多岐にわたる。昨年度の市民活動協議会の委員も務める

■コーディネーター
天野浩史(あまのひろふみ)さん
NPO法人ESUNE代表理事。愛知県岡崎市出身。高校卒業後、静岡大学理学部物理学科へ入学。在学時、地域づくりと出会い、ESUNE前身団体を設立。その後、求人メディア会社を経てESUNEを法人化し代表理事に就任。企業・自治体・大学など様々な人材育成プロジェクトにてプログラム開発やディレクターとして関わる。この他、大学研究員、NPO・一般社団法人理事を兼務

「市民活動」のイメージは?

まずは「市民活動ってどんなイメージ?」というのを、zoomのチャット機能を用いて参加者に聞いてみました。

※以下、原文ママ

・誰でも簡単に自由に楽しく参加する場
・まちを豊かにする
・ボランティア、趣味の活動
・市民が好き勝手にやりたいことをやってる感じ
・みんなができることを、みんなで行う
・市民が主体的に考え、行動できる
・清掃活動とか見守り活動とか
・主体性 共感 協働 課題解決・・・
・市民によるまちづくり活動
・市民の活動 つまり政治活動も含まれるのでは
・地域のひとたちが自ら動く!
・みんなが参加できるものだけど、企画サイドに回るのが大変。
・こんなことしたらいいんじゃないかなと思うことを同じ思いの人と一緒にやってみる
・自由な目標に向かって、それぞれが取り組む活動です!
・老若男女問わず参加できる。
・地域に誇りを持ち地域のための行なう活動
・どの程度の市民が活動しているか、わからないと思う

「静岡市市民活動促進基本計画」とは?

続いて、静岡市市民自治推進課の青山さんより「静岡市市民活動促進基本計画」についての説明がありました。

静岡市では、「市民が主役のまちづくり」を実現するために、「自治基本条例」「市民参画の推進に関する条例」「市民活動の促進に関する条例」の3つの条例を定めています。
「自治基本条例」は静岡市の条例の憲法にも例えられるもので、まちづくりの理念について定められています。「市民参画の推進に関する条例」は市の政策に市民の声をどのように反映させるかということをルール化した条例です。
市民活動促進基本計画は、「市民活動の促進に関する条例」に基づく計画となっています。この条例には、市民活動の定義とは、市民活動の促進とは、どういう計画で市民活動を促進しようかということなどが定められています。

この中で現在取り組んでいるのが「第3次市民活動促進基本計画」で、計画期間は2015年から2022年まで。このあとは「第4次市民活動促進基本計画」を設定していくことになります。
第3次の計画では「より多くの市民が参加するまちづくり」を目指し、市民活動を(1)知らせる(2)やってみる(3)深める(4)つながる、の4本柱を設定しています

(1)知らせる……交流の場づくり。市民活動センターの機能強化。多彩な参加の場づくり

(2)やってみる……市民活動への参加の促進。市民活動を広げるための取組。市民活動の楽しさを知ってもらうための取組

(3)深める……市民活動の自立を支える環境づくり。優れた市民活動が市民の信頼を得られる取組や市民活動団体の運営を支援する取組

(4)つながる……協働事業の促進。市民活動をつなげるための取組。相互理解を深める協働事業提案制度の充実

これらの4つが循環することで市民活動が豊かになることを目指しています。

写真上)番町市民活動センター
写真下)市民活動協議会の委員の木下さん

市民活動促進基本計画は、「市民活動促進協議会」(=静岡市の市民活動の促進に関する重要な事項について審議する会議のこと。市民委員により構成されている)の意見のもとで策定されています。今回のゲストは、現在の市民活動促進協議会の委員と、過去に務められた委員の方々です。
協議会の市民委員と静岡市が「第4次市民活動促進基本計画」について審議し、計画を作成。基本計画ができた段階で市民に公開し、パブリックコメントなどを通じて市民の意見を確認したあと、計画が策定。市民に広く計画が公開されます。

今回のオンラインシンポジウムは、新計画について市民の視点から話し合う場。今回の参加者からの意見を市民活動促進協議会に提示し、これを参考にして「第4次市民活動促進基本計画」が審議されていきます。オンラインシンポジウムをいうのは、静岡市としても新しい取組となっています。

ゲストによるパネルディスカッション

続いて、市民活動に携わっているゲストによるパネルディスカッションを通し、論点を整理していきました。

Q.新型コロナウイルスの影響など、最近の市民活動の動きは?

木下さん:市民活動やNPO 活動は、人と人とのつながりを大事にしているところが大きいので、コロナ影響は大きい。助けてあげたいが感染のおそれもあるというジレンマがある。「不要不急の活動は控えて」と言われ、そして「エッセンシャルワーカー」(=医療、福祉など人々にとって最低限の社会インフラ維持に必要不可欠な仕事に従事する人のこと)という言葉が普及した。市民活動・NPO活動をしている人は、コロナにおいても必要不可欠な活動なのか、どういう立ち位置なのかわかりにくい。新しい計画策定にあたり、そういった部分も見つめ直せるといい。

Q.市民活動やNPOが取り組む活動の価値や意義は?

田中さん:自治体ができないことをやっている感覚がある。本来なら自治体がやってほしいような緊急支援を代わりにやっているような印象があります。特にコロナ禍においてはそうですね。

市民活動協議会の委員の田中さん

市民活動協議会の委員の弓削さん

弓削さん:市民活動やNPOの活動は千差万別ですが、私たちの団体では、社会課題として顕在化していないところをやっている印象があります。行政も緊急性がないのでやらないという課題があるし、そのことがどう影響するかは見えないところ。しかし、後になって影響があるということに気付いたりもすることも課題だと思います。必要だなと思った人が動き出し、動き出した人が解決に向かって動き出していく。NPOとして動いている姿が周りに受け入れられ、そのような社会の雰囲気をつくっていくことが大事なことだと感じています。


木下さん:多様性が一つのキーワード。一つひとつの活動はニッチなところに向いています。たとえば田中さんが一人親の支援をする際、対象は限られますが、活動に参加するのは学生だったりする。学生は清掃活動を手伝ってくれたりしています。また、老人や子どもは社会的弱者かもしれませんが、お年寄りから学ぶこともあるし、子どもたちの歌う様子を見て、お年寄りも元気をもらえる。多様な活動があることで、助けられる人もいれば助ける側になれる人もいる。そういう多様な参画のやり方や場面をたくさん用意することで、助けられたり、助ける側になったりできます。それが魅力であり、価値の一つだと思います。


これらのゲストの話から市民がつくる理想のまちの輪郭が、少しずつ見えてきたようです。ここで参加者から次のようなコメントが入ってきました。

参加者:市民活動は必要だけれども行政等が手をつけていないこと、手をつけられないこと、十分でないことのスキマを埋めることが大事だと実感しています。そこから得た経験、実態把握を活かし、政策提言していけるといいですね。

参加者:コロナ過でもNPO活動は、やり方を考えて実行しています。特に幼児親子に向けた自然活動は実践しています。

Q.企業が市民活動に参画したり、ローカルビジネスやローカルベンチャーが増えたりしていますが、企業と連携・協働できたらよいことはありますか?

田中さん:一人親の生きづらさはあります。賃金格差、正規・非正規採用の性差…。企業がNPOに金銭的支援をしていただけるのも嬉しいのですが、もともとの賃金格差の是正や変容を求めたいですね。

木下さん:企業の組織の看板が前に出てくるのもよいのですが、企業が主体的になるのではなく、従業員個人がそれぞれで主体的に市民活動に参加してもらう方がよいかと思います。ボランティア休暇も導入している企業はありますが、企業がボランティア先を指定するのではなく、自分から選ぶ方がよいですね。プロボノ(社会的・公共的な目的のために、専門スキルや知識を生かして取り組むボランティア活動のこと)という言葉もありますが、そうすることで従業員も育ち、それが結果、企業にとってもよい形になるのではないでしょうか。

弓削さんが代表を務める「NPO法人 まちなびや」は、働く大人や地域と子どもをつなぐプログラムを展開している団体。まちのお仕事図鑑等を発行している。

弓削さん:企業の強みを生かし、それをNPOに生かしていけたらと考えています。本業でどんなことができるかを考え、それからつながり先を見つけたいですね。私は「シゴト開き」という形でキャリア教育を行っていて、プロの仕事を子どもたちに見せてもらうというもの。企業が持つ時間の100分の1でよいので地域や子どものために使ってもらえたらと思っています。

企業からは寄付だけではなく、ほかの形での参画のやり方があるということも知ってもらえたらということでした。

Q.静岡の市民活動の理想の形は?

弓削さん:今回のオンラインシンポジウムは画期的。家にいながら参加できるので、ハードルが下がる。いろいろな人が意見を言いやすい場所が沢山あれば、多くの市民が参画しやすいのではと思います。

田中さん:投げる方(市民)と受ける方(自治体)と両方の場となるところが必要。無理のない範囲で、お互いがアウトリーチできればいいですね。しかし、今、それができるツールがない。先日も市民活動促進協議会の場で話したのですが、要望書を出すのはハードルが高い。パブリックコメントを提出しても返事がくるのに時間がかかる。その辺りの整備も必要ですね。
ただ、静岡市はコンパクトシティなので、つながりも多い。それが何かのヒントになるかもしれません。

木下さん:極論としては、市に促進計画をつくってもらわなくてもよいような状態になっているのが理想かもしれないです。「静岡の市民活動はこんなふうに行われているから、静岡の市民活動はこうだよね」と認知してもらい、足りない部分を行政に補ってもらうのがよいのかと思います。NPO法(=特定非営利活動促進法のこと)も、基本的には行政の関与が抑制されていますし、仕組みとしては私たちの声でルールをつくり、その取りまとめを行政にやってもらうというイメージで今の計画もつくられていると思います。
自分の身の回りには大小さまざまな市民活動が存在していて、今日はごみ拾いの活動、明日は見守りの活動、日常的にはあいさつなど、そういった活動が当たり前になっていくのがいいですね。ただ、現状はそこまでのコンセンサスはないので、こういう方向性で盛り上げていきましょうという掛け声がある方がいいですね。

Q. 静岡市市民自治推進課としては、市民団体が協働していくとき、こういうふうにしていきたいという理想がありますか?

青山さん:市ではさまざまな市民活動団体と協働するケースが増えています。市民自治推進課として、協働する際に大事にしているのは役割分担です。NPO法では、市民活動に対する行政の介入は最低限に抑えられています。さまざま活動の中で、行政としてできること、民間のNPOとしてできることをきっちりかみ合わせることで、よりよく事業が行えるのではないかと思います。NPOとしてできること、市としてできることを、それぞれがしっかり理解、公開しながら役割分担していくことが大切ですね。

Q.市民の行動を誘発していくための情報発信のツールは何かありますか?

木下さん:数年前に「ここからネット」ができて、団体情報が集約されました。ネットで検索すると、「ここからネット」に載せている団体の活動情報が出てきやすくなるという意図だったのかなと思います。促進計画の中の“知らせる”の項目があり、「ここからネット」もそうですが、今はSNSもFacebook、Instagram、Youtubeなど複数のものを使わないといけないという難しさは感じています。
今後は参加者からも広げてもらうという参加のやり方がよいのかもしれません。映(ば)えるものを用意して、来てくれた方から拡散してもらうという形も一つの工夫ですね。そういうノウハウを市民活動センターで教えてもらえるというのもいいですね。

弓削さん:私自身は情報発信が苦手で、ブログやFacebookで広げるという程度しかできていません。去年、ESUNEさんを通して大学生と接点ができ、「こども10円商店街」という活動に参加してもらうことができました。そのとき「Facebookは古い、Instagramだよ」と言われ、大学生の人にはInstagramで発信してもらいました。木下さんが言う通り、参加者に発信者になってもらうということはとてもいいですね。できないところを、できる人がサポートしてくれる。それが参画者になってくれると活動にも入ってきてくれて、好循環になると感じています。いろいろなツールが出てきているので、ノウハウを勉強する機会があったらいいなと思います。

田中さん:私は情報発信の手段として、Twitter、Instagram、Facebookとやっています。食料配布会の際には、市内のこども園やスクールソーシャルワーカーにちらしを送るなどをしています。なんとなく当事者にはつながるツールはあります。市の職員の方にボランティアで手伝っていただき、肌で状況を感じてもらい、それが政策につながっていくという形もあるといいなと思います。

木下さん:あさはた緑地でもInstagramとFacebookをやっていて、結構遠方から来てくれます。ただ、地元の人がいなくて。地域の回覧板や新聞に出ると反響が多いので、どういうメディアがどういう人たちに届くのかを精査していくと見えてくる部分があるかなと思います。

参加者みんなで意見交換会

ゲストによるパネルディスカッションのあと、4つのグループに分かれ、ゲストを含めた参加者全員で意見交換会が行われました。4つのテーマを設定し、希望するテーマ別にzoomのブレイクアウトルームで会話します。テーマは前半30分と後半30分で、それぞれ違うもの選ぶことも同じものを選ぶこともできます。

それぞれのルームから出てきた意見をご紹介します。

①市民活動が活発な状態って、どんな状態?

市民がつくるまちを考える上で重要な「市民活動が活発な状態」について考えました。

<前半のグループ>
・誰でも自由に参加できる。活動自体がオープン
・拘束されない。参加しないという選択肢を選んでも大丈夫な関係性。入退会が自由
・さまざまな年齢層や性別が活動している。乳幼児親子も気軽に参加できる。仲間を連れてこれる
・学生がボランティアとして参加していることで、人気も集まり、発信力も高まる
・優しく迎え入れられる。居場所にもなる。困ったときに助け合える
・コミュニケーションがとれ、横のつながりができる
・良いことも悪いことも意見が言いやすい
・市民活動がなければ出会わなかっただろう人に出会える
・主体的なメンバーがいる
・みんなが高め合える
・楽しいという実感

<後半のグループ>
・好きな時間帯に好きな場所で活動できる
・個人ではなく、複数人でやっていたら市民活動?
・静岡市のための活動でなければ駄目なのか。そんなことを考えずにできたら良い
・オンラインなどを使うことで参加の敷居が低くなる
・市民活動とは、市民が営利目的とせず、社会課題の解決に取り組む交易な活動
・個人があいさつをするだけでも市民活動なのでは? 日常の中にある状態
・何かをしつつ、人の役に立っている。すでにやっていることも市民活動だと認識していくことが必要
・市民が意思決定をし、まちをつくっていくためのアクティビティ
・なぜ市民活動を活発にしたいのかということから逆算していく
・サードプレイスの価値
・自分の仕事ではないところで他世代の価値観に触れることができる

②理想とする協働の仕方って?

行政・企業・自治会など多様な組織との協働のあり方、市民がつくった活動・事業の政策への反映のさせ方などを考ました。

<前半のグループ>
・労働時間の拘束(体力・気力)が厳しい
・一人でやろうとするとその一歩が遠い。誰かと、どこかで、あるいは吸収することが必要
・自分ではない他を知ることができる。アイデンティティを自分に与えてくれる(例:2枚目の名刺をつくることができる)
・やりたいことに時間を割ける状況をつくり出せる
・「協働の種」はいろいろなところに落ちている。身の丈にあった活動
・行政や学生、プレイヤーに企業が応えていく必要がある。
・中山間地域は市民活動から置いていかれがち。オンラインで気軽に関わっていけるとよい

<後半のグループ>
・委託管理を団体で受けることで、市民一人ひとりの役割ができる
・たとえば給料日に会社の周辺の清掃活動を行う。トップの号令により、少しずつ浸透させていくことが大事。強制は望ましくなく、子どもも親の背中を見て育つ
・行政とNPO、NPO同士など、強みを生かしあうことが大事。NPOは行政の手が付けられない領域で、困っている人にピンポイントに手を差し伸べられる。逆に情報発信は行政の強み
・自分たちが蓄積していったことを政策に反映できる。予算を出して引っ張っていくのが行政だが、縦割り行政の解消が必要
・ビジョン・理想を一緒に考えて共有する形が理想で、経済的な事情は後付けの方がよい

③在住外国人・LGBTQ、独居高齢者などマイノリティな方との市民活動の理想的な関係は?

社会的に厳しい環境や孤立状態に陥りやすいマイノリティな方との市民活動はどう向き合えばいいか?どういった制度や仕組みが必要か、考えました。

<前半のグループ>
・SDGsの活動で声をあげにくい方の声はどうやって拾う?
・独居の高齢者、65歳以上の一人暮らしの高齢者はマイノリティなのか
・空き家の活用など、行政も関わってくれればいいなと思った
・留学生の就職支援活動をしているが、市民との接点をどう増やすのかわからない
・マイノリティが悪いわけでも、課題でもないが、声が届きにくいため配慮が必要
・かまってほしくないという人もいるかもしれないが、生きづらさを抱えているかもしれない人に声を傾けたい
・在住外国人の方は日本語能力が低いと関係性がつくりにくく、つまらなくなる可能性がある
・静岡にLGBTQの団体はあるのか? カミングアウトしていない方は活動をしたいわけではない
・DV被害者、LGBTQ、難民等、自分の情報を開示したくない当事者もいる
・一人ひとりが尊重されることが大切
・フードバンクは「困っていないけれどももらった」という情報が広がると、困っている人も参加しやすくなるのでは

<後半のグループ>
・高齢者・障がい者を一緒にしてやっていこうという流れができているが、コロナの影響もあり、理想はあっても現状は難しい
・オンラインなど新しい仕組みを使いこなせるかどうかでも格差が生まれる
・独居高齢者の問題。コロナの影響で出られる場所がなくなった。1度居場所が途絶えると、次の情報へのアクセスが難しい
・不要不急の閉塞感で、まちのなかに第三者が必要
・コーディネーターが必要になる
・歩いていける中での暮らしの中での課題解決の場をつくる
・公的な場所に悩みを言える場所がない
・誰かとつながっているということや、おしゃべりする場があることが大切

④これからの市民活動センターに備えてもらいたい機能は?

市民活動を支えるセンターに求められる機能やあり方を考えました。

<前半のグループ>
・市民活動で話し合うことがある。市民活動に入りたいけれども、月1回の会議が面倒という人にはハードルが高い
・交流の場という役割がある
・自宅を公開するのはリスクがあるので、住所だけなどの事務ブースを借りたい。第3のセンターがほしい。NPO法人であれば住所登録が可能
・事務代行をしてくれるという、札幌の市民協働センターが参考になる。静岡のセンターも事務代行をしてもらえるとよいが、どこのラインで妥協するか。活発である状態が理想
・キャパシティ・ビルディング(=個人、組織、社会が、目標達成するために必要な能力を構築・向上させること)
・団体の底上げが必要

<後半のグループ>
・清水の方は通信環境、駐車場の問題がある
・中山間地が住みやすい環境になれば
・知らない人や機会がない人へのアプローチ
・行政手続きをシンプル化にして欲しい。書類が多い。参加型の方が安くなる
・まちづくりマスターになったが書類手続きが多い
・空き家問題は市民レベルでは難しい。行政と一緒に有効利用したい
・集まれる拠点が少ないのでは? 各団体の声をたくさん聞く必要がある
・番町は市民活動に対して意識が低いのかもしれない
・地域づくりに若い方が多くて感心する
・クローズでもオープンでもよいが、相談スペースがほしい
・市民センターの役割がはっきりしていると議論しやすい
・横の連携が必要

最後に

市民活動において、市民一人ひとりの共力を大きな力を変えていくことが大切だそうです。最後に、ゲストから感想をいただきました。

木下さん:「市民活動における活動とは」という部分がひっかかりました。働いている人たちが忙しすぎると、物理的に参加できないという問題がある。働くという軸は変えないまま、ほかにも1つ2つ所属先があるという心のゆとりをもてる社会があるといいですね。

田中さん:今日は、みなさんから多様な考え方が出てきて、視野が広がりました。月1回、全国のひとり親支援団体とのオンラインミーティングをしているのですが、各地の市民協働センター、活動センターの話を聞いたことがあります。札幌のセンターでは、事務が苦手な人のために領収書を渡せば全部代行してくれるというサービスがあるんです。一人立ちすることが大事なのですが、スタートアップのときや一部を手伝ってもらうマッチングなどのサービスがあるといいなと思いました。

弓削さん:今日はさまざまな話を聞けて刺激を受けました。感じたのは、悩んだときに話を聞いてもらえる場所の必要性はあるのですが、意外にそういう場所がない。それがマイノリティの方にはあるのではということに気づきました。市民活動センターにも生涯学習センターにもそういう機能がない。そういう要素があってほしい。もちろん、おしゃべりの場のためだけにそういう場の人材確保をするのは難しいと思います。でも、こういう時代だからこそ、会って言葉が交わせる場所があるのはすごく大事なこと。話を聞いてくれる人をマッチングしてくれるだけでもいいと思います。

青山さん:今回、「自由に」「みんなで共力」というキーワードがたくさんでてきました。「市民活動」はさまざまな要素を含んだキーワードです。閉じられた活動があり、開かれた活動があり、自由な活動もあれば、切迫した活動もあります。市民活動はそれらすべてを含んだ概念です。市民活動は自由であらねばならないというのは、まさにそういうところにあります。木下さんもおっしゃっていましたが、行政の活動はどうしても漏れてしまう部分があります。市民活動は自由な枠組みの中、自由な活動ができる。次の計画を考える中で、さまざまな概念を含んだ市民活動を、市がどう捉え、計画に落とし込むか。そして市民のみなさまに広めていくかがポイントになります。
今回みなさまからいただいた意見をまとめ、それを参考にして市民活動促進協議会へ持っていき、計画を立てていこうと思います。なお、2022年10月頃に、「第4次市民活動促進基本計画」ができる予定ですので、パブリックコメントということでご意見をいただければと思います。

なお、市民活動促進協議会は陪席が可能で、今後、どのような議論がされるのか直接聴きに行くことができます。興味がある方は静岡市市民自治推進課へ連絡してみてください。

更新日: 2022/03/29 () 18:57

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