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中山間地域で自発的に組織された学童保育運営の中心的存在を担う「奥藁科きのこの会」

 静岡市

静岡市街地から車で45分。大川地区で活動をしている「奥藁科きのこの会」は、児童の見守りや長期休暇中の学童保育「おおかわお山の学童」や、親子で一緒に参加できる体験型イベント「きのこ」を開催しています。中心になっているのは地域で子育てをする保護者ですが、子育てが一段落した親や地元のお年寄りたちも交えた、地域全体での子育て環境の整備を目指しています。 2023年12月25日、大川小中学校集会室で開催されたクリスマス会と「奥藁科きのこの会」の藪田真弓さんに伺った活動の様子についてレポートします。

地域の子育て世帯が中心になって始まった学童保育

2023年12月25日、学童保育『おおかわお山の学童』では、クリスマス会を開催しました。
会場は大川小中学校にある集会室で、大きなクリスマスツリーが飾られていました。子どもたちはいつもと同じ朝9時に集まり、宿題を1時間やってからゲームをして午前中を過ごしていました。持参したお弁当のランチタイムを挟んだ後は、クリスマスをテーマにした絵本の読み聞かせや、いつもよりバージョンアップしたおやつを食べながら映画鑑賞をして、楽しい時間を過ごしていました。

学童保育『おおかわお山の学童』の運営を担っているのは、地域で子育て環境づくりや親子のコミュニティづくりを行っている『奥藁科きのこの会』です。移住促進を行っている大川地区では、10年ほど前から子育て世帯が増えてきています。大川小学校では、放課後子ども教室『やまゆり』もスタート。一方で、長期休暇中の子どもの見守りが課題になってきました。

今回お話を伺った藪田真弓さんは、12年前に静岡市の市街地エリアから大川地区に移住。当時は他の保護者と交代で、自宅で子どもたちの見守りを行っていたそうです。しかし、預かる子どもが次第に増え、個人宅ではスペースや安全面などの課題や負担が大きくなっていきました。そこで、有志が集まって学校の敷地内にある集会室や、交流センター、こども園などを借りて子どもを預かるようになりました。

「街中に通勤している共働き夫婦が多い中で、職場に近い学童保育に預けるのではなく、やはり地域で子育てしたいという想いがありました。そのために私たちは、子どもたちが気軽に来られるようにイベントを増やして工夫してきました」。

「放課後子ども教室『やまゆり』が先に始まったことで、地域全体で見守りの意識が高まり、学童保育『おおかわお山の学童』への理解も深まったのだと思います。大川地区でも、移住世帯に限らず基本的に核家族化が進んでいますが、地域の皆さんの多大なる協力をいただき、活動することができています」。

中高生や高齢者も一緒に。地域をあげて参加する子育て

学童保育『おおかわお山の学童』は夏休み、冬休み、春休みの平日ほぼ毎日、9時から16時の間で行われています。現在、大川小学校には11人が通っていて、その日によって増減はありますが、学童保育には毎回5、6人の子どもたちが参加。地域外の学校に通っている子どもの参加もあります。スタッフは、放課後子ども教室と兼ねている人が多く、地域の高齢者も孫を見守るように積極的に参加している様子が印象的です。

「子どもたちにはできるだけ気軽に過ごしてもらいたい」と、藪田さん。
その日に何をするかはあらかじめ決めず、宿題を済ませた後は、子どもたちがみんなで相談しながら、ゲームや映画鑑賞、外遊びなどと決めているそうです。

取材したクリスマス会では、中学生になった藪田さんの娘さんがスタッフとして参加していました。この地域で育ち、同じように学童保育『おおかわお山の学童』を利用していた高校生や大学生が手伝ってくれることもあるそうです。

「多くが顔見知りの子で、地域の様子もわかっている卒業生は頼もしい助っ人ですよ。子どもたちは学年に関係なく遊ぶし、やってはいけないことはスタッフが注意するだけでなく、友だち同士でもちゃんと注意する。昔のおじいちゃんやおばあちゃんに教わったような日常のしつけは、今は機会がほとんどないですが、それがここには残っているんだと感じますね」。

学童保育の活動資金を集める手づくり品の制作と販売

学童保育『おおかわお山の学童』で用意するおやつは、利用者が家庭から持参したり、スタッフの持ち寄り、地域の人からの差し入れや、足りない時は購入してまかなっているそうです。とはいえ、活動のための材料費と見守りスタッフへの謝礼や保険料など活動にかかる費用は、各家庭の持ち出しだけでは難しいのが現状です。そこで、『奥藁科きのこの会』では、月1回日曜日の昼下がりに、ミシンやアイロンなどを持ち寄って、みんなで手づくり品を作り、湯ノ島温泉祭りや収穫祭などのイベントで販売し、売上金を活動資金に当てています。イベント会場では、心のこもった手作りおやつと、お茶や子どもたちのドリンクなども用意しています。
この集まりは、子育てサロン的な場にもなっていて、手づくりが得意な人も苦手な人も一緒におしゃべりやおやつタイムを楽しんでいます。

「子育て世帯とか移住世帯とかに関わらず、親子で参加して気軽に交流できます。きのこの会の運営スタッフは5人いて、内2人は小・中学生の子どもがいるお母さんたちで、主に学童保育『おおかわお山の学童』の企画運営をしています。内3人は今年高校を卒業する子どものお母さんたちで、主にイベントや出店に関わる作業をしています。また手づくり品を一緒に作ったりと、みんなが協力してくれています。この集まりはコロナ禍で中断していましたが、2024年は再開します。子育て中に孤独を感じてしまうお母さんもいるので、こうした地域のサロン的な場はニーズがあると思っています。子育て世帯の息抜きの場としても、月に1回は難しくても、継続して定期的に集まれればいいなと思います」。

大川地区の魅力を多くの方に知ってもらいたい

奥藁科きのこの会では、静岡市と協働し、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングに、2024年2月29日まで挑戦しています(2023年12月25日現在)。集まった寄付金は、学童保育での自然豊かな大川ならではの体験型イベントや、大川小中学校の芝生グランドを会場にした満天の星の下で行う芝生シアターの実施に活用されます。
芝生シアターは、地元の人だけでなく様々な地域の方も大川地区に足を運んでもらえるイベント。以前は年に一回、PTAが主体となり開催していましたが、マンパワー不足で開催中止が続いています。

「今後も可能な限り、さらなる子育て環境の充実を図っていきたい」と藪田さん。

「子育ての数年間は走り抜ける感じだけど、この土地での子育てが楽しくなるように工夫していきたい。それが、自然豊かな大川地区で子育てをしたいと希望する移住者の増加につながってくれたら、嬉しいですね」。

更新日: 2024/02/28 () 14:18

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