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令和5年度静岡市協働パイロット事業「就職氷河期世代を始めとする多種多様な市民による、フラットに語り合えるコミュニティ形成および情報発信」活動レポート

 静岡市

誰もがフラットに語り合えるコミュニティを形成するために、設立以来活動を続けている「つながりあいず」。令和5年度静岡市協働パイロット事業では、就職氷河期世代をはじめ、つながりを求めている人たちが語り合えるコミュニティづくりや、それに関するさまざまな情報の発信を行っています。2024年2月10日に行われた「たいわタイム〜ライフデザイン・ワークショップ〜」の様子をレポートします。

互いに語り合える場で人とつながり、独自性を尊重して生きるために

就職氷河期世代をはじめ、就労や他者と関わる社会活動において、何らかの課題を感じている人たちの多くは孤独な状態にあるのではないか?公的な支援が個々人に届きにくいのではないか?とつながりあいずは考えます。
それらの課題解決のため、静岡市協働パイロット事業「就職氷河期世代を始めとする多種多様な市民による、フラットに語り合えるコミュニティ形成および情報発信」で、さまざまなテーマやスタイルでイベントを開催。6回目となる今回のイベントは、「自分の常識を見つめ直す」ライフデザインのワークショップです。

コミュニケーションのきっかけづくりから始まり、自分の常識を見つめ直す

「自分の常識を見つめ直す」ライフデザインのワークショップでは、「お互いに人生を応援し合う・役割を固定しない」というライフデザインの考え方を基に、過去の人生や物事を見つめ直し、再編集します。
※ライフデザインでは、自分の過去の出来事の中で、例えば「もしあの時○○だったら」「もし○○していれば」と思うことについて、他者と共有し会話をすることで、その捉え方が変わることを「再編集」と呼んでいます。


本題に入る前に取り組んだことは、参加者で協力してワークショップの資料を完成させること。この作業で、初めて会う参加者同士も打ち解けやすくなりました。その次は、“みんな知っている”アニメのキャラクターを、記憶を頼りに描きました。見せ合うと、それぞれの絵は異なり、記憶は人によって違うということに気づけます。

ワークショップは次のようなステップで進められます。

●ステップ1「ライフレコード」
・・・「過去」これまでの人生で起きたことを書き出す。

●ステップ2「ライフストーリー」
・・・これまでの人生で「再編集」したいエピソードを選び、その時の状況や自分の気持ち、なぜ「再編集」したいかなどの「自分の気持ち」を参加者に聞いてもらう。その後、自分以外の参加者が感想を伝え合う。

●ステップ3「冒険プラン・未来絵日記」
・・・自分がワクワクする「こうなったらいいな」を、まずは一人で”妄想”、その後に参加者が妄想物語に”乱入”して、これからの「最初の一歩」をより具体的に思い描く。

一番のポイントは、「ライフストーリー」を発表した後、他の人たちが語り合う感想を”背を向けて聞く”、感じたことや気づいたことを”再びみんなで共有すること”。自分がこだわっている過去の出来事について、いろいろな考え方があると気づき、エピソードに対して捉え方が変わります。

最初は緊張気味だった参加者も、時間が経つにつれ会話が増え、声も大きく楽しげになり、リラックスしている様子でした。

大事にしているのは参加者の変化を止めないこと

つながりあいず代表の三上静佳さんは、大事にしているのは参加者の変化を止めないことだと言います。

三上さん「ワークショップの途中で、今まで誰にも言えなかったことを語り出す人もいるんです。それがたとえワークの手順から外れていても止めません。今、ここで話ができたこと自体すごいことなのだから。そうして共有した時間で、困った時や嬉しい時に、相談したい、話をしたいと顔が浮かぶ人を見つけてほしいんです」。

メインファシリテーターを務めたのは、つながりあいず顧問の鈴木雅義さんです。自身もライフデザインのワークショップに初めて参加した時には、触れられたくない過去を話すのが非常に苦しかったそうです。

鈴木さん「それでも、過去の出来事によってすごく落ち込んでいた気持ちをみんなで編み直すことで、引きずっていた重い気持ちが軽くなる。この気持ちの変化が、過去が変わり今の自分が変わっているということです」。

参加者の声

「自己啓発的なセミナーは、どんなことをやるのか興味があり、ずっと参加してみたいと思っていました。ワークに入る前の説明では、自分の考え方とはちょっと違うのかなと感じる部分もありますが、いずれにしても前向きな人生にしていきたいと思っています」

「静岡市が開催したライフデザイン講座にも参加しました。自分の日常も、ライフデザインの考え方を周囲の人に伝えていくためのお手本になるよう、ワークショップで実践してみようと参加しました」

自分自身も就職氷河期世代。転職を繰り返して見つけた“天職”でつながりをつくる

三上さん自身も就職氷河期世代で、何度も転職を繰り返してきました。そんな中たどり着いた前職は、就労支援に携わる仕事。周囲の人から向いているとすすめられ、軽い気持ちで始めたそうですが、これが“天職”だと感じたそうです。

三上さん「就労支援の仕事を退職した後も個別に相談に乗っていました。みんな本音を相談できる場所がないんです。さまざまな人たちが集まる場があれば、私よりも相性がよくて話しやすい人とも出会ってもらえると思い、2021年につながりあいずを設立しました」。

静岡市が開催しているライフデザインファシリテーター養成講座を受講し、ライフデザインファシリテーターの資格も取得した三上さん。つながりあいずの活動には、ファシリテーター同士が集い、アドバイスをし合い理解を深めるためのコミュニティにするという目的もあります。
顧問の鈴木さんとも、ライフデザインファシリテーター養成講座で出会いました。鈴木さんは本業の傍ら、つながりあいずの活動をサポートし、ワークショップやイベントに参加する人たちの変化を、間近で感じています。

鈴木さん「ライフデザインを活用した社会的つながりの構築は、社会から取り残されていると感じがちな就職氷河期世代はもちろん、どの世代の人にも有効です。1回のワークショップの中では大きな変化はわかりにくいですが、表情や仕草、もう一度参加しようという姿勢から、積極性が生まれていると感じます。何回参加しても、ライフレコードに書く内容は変わりません。でも、苦しく感じていた過去に対しての解釈は変わっていて、自分らしい人生を考えるようになっていきます」。

写真(左)つながりあいずデザイン担当 三上雅樹さん、つながりあいず代表 三上静佳さん、つながりあいず顧問 鈴木雅義さん

語り合い、ひとりでも味方を見つける。その先に孤独感の解消が

つながりあいずが開催するイベントは、誰かが一方的に語るのではなく、参加者自身も考え、話す「対話」に重点を置いています。それによって、「お互いに人生を応援し合う・役割を固定しない」フラットな関係性のあるコミュニティの構築を目指しています。

三上さん「私自身もそうでしたが孤独を感じている人は、子どもの頃に認めてもらえなかったことや、自分の感情を抑えてきたことが、大人になってリバウンドしているのだと思います。でも、家族、配偶者、友人など、たったひとりでも味方がいると、とても心強く、自分らしく生きられます。なんとなく波長が合って、またおしゃべりをしたいなと思う人を、自分自身で見つけてほしい。他人から言われて受け身で会うのではなく、本人の『また会いたい』という感情を大切にしてもらいたい。そのきっかけをつかむためのコミュニティです。
みんな、幸せになるために生まれてきたと思うんですよ。成長する過程で、いろいろな影響を受けて、自分らしさを忘れているだけ。イベントに参加することで、 “変わる”というより、本来の自分を“思い出す、取り戻す”キッカケ作りをし合うのが私たちの活動だと思っています」。

更新日: 2024/03/22 () 13:20

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