静岡市の市民活動に関するアンケート調査結果によると、「ボランティア活動、NPO活動に参加した、または参加したいと思ったことはありますか」という問いに、「ない」と答えた割合が、他の世代よりも30代~40代が多かった。
その理由として、「活動する時間がなかった」という解答が大半を占め、この世代にとって「時間の確保」が市民活動に参加する上でのハードルになっています。そこで、30代~40代で子育てしながら市民活動に取り組んでいる方達に、「子育て」と「市民活動」をテーマに、リアルな声を聞かせてもらいました。この鼎談から、参加の割合が低い理由、これから求められる「時代の変化」に対応した市民活動のあり方が見えてきました。
【佐々木】高校3年と1年の娘2人の父親で、昨年7月にPTA&Co(以下ぴったんこ)という団体を立ち上げた佐々木光太郎です。主に、男性の家事育児の支援と、PTAの支援をしています。
【黒木】NPO法人子育て支援サポートクリア(以下クリア)の事務局をしている黒木亜佑美です。小学1年の娘と3歳の息子、これから産まれてくる女の子3人の母親です。クリアは、令和4年10月に設立した団体で、蒲原にある子育て支援センターの指定管理と、静岡市から委託された利用者支援事業をおこなっています。令和5年11月に、一時預かり保育施設「にじのへや」をスタートさせました。必要がなくなった服やおもちゃを譲り合う「お譲り会」等のイベントも開催しています。
【遠藤】清水おやこ劇場(以下劇場)の遠藤恵です。小学3年と年長の女の子2人の母です。劇場の活動は、親子で楽しむ演劇鑑賞や、学校以外の活動の場を通じて友達を増やす自主活動等があります。私は、自主活動の内の「あっぷっぷー」というグループの担当をしています。毎月親子ヨガをやったり、絵本を題材にした「ママサロン」という活動をやっています。お母さんもリフレッシュでき、子どもにとっても楽しい思い出ができるような活動を目指しています。50年以上の歴史がある団体で、活動に長年携わってきた先輩方がいます。そこに、私たち40代以下の世代が続いている感じです。
【黒木】クリアは、長い間子育て支援に従事してきた保育士、支援員で設立した団体です。理事長は、子育てに行き詰まったお母さんたちを助けたいという気持ちが強い方で、私も悩んでいた時に、ここのスタッフに支えてもらいました。そういった経緯もあり、設立の際に声をかけてもらった時は、嬉しかったです。団体の名前にある「クリア」という言葉は、英語で「透き通った」「達成した」、「晴れ渡る」という意味です。個性を大事にし、誰もが自分らしく、名前の通りクリアな気持ちで過ごすことができるようお手伝いをしていきたいです。
【遠藤】劇を見るのが好きで、高校時代は演劇部の部長までやりました。「あっぷっぷー」を担当しているのは、私が長女の子育てに行き詰った時、ここに救われたからです。ある時、引き継ぐ人がいなくなると聞いて、引き受けることにしました。
【佐々木】PTAは、長女が小学生の時から、役員として関わってきました。最初は、お願いされたことだけをやっていました。でも、会長のような立場になると、「役員になると大変だから、断る理由を探す」「やる人がいないから、誰かが無理して引き受ける」等の課題が見えてきました。PTAは、戦後に学校を支えるためにできた組織です。当時は、子どもが増えていく時代でした。でも、少子化の時代になっても、現状のまま運営している。今は、学区の保護者だけで子どもをサポートする時代ではなくなってきています。だから、学区や在籍に関係なく、PTAをやってよかったという人達で集まって、支援できる団体を設立しました。
【遠藤】生活と活動を両立させることが大変です。「活動には参加したいけど、色々やらなきゃいけなくなるんでしょ。だから入りたくない。」と言われたこともあります。上の世代の「色々任せていきたい」という期待と、下の世代の「後々色々やらなきゃいけないんでしょ」という冷静な対応の間で、板挟みになることも多いです。先輩方の期待もわかるし、若いお母さん達が警戒する気持ちも共感できる。
【佐々木】PTAでは、「できる人ができることを、できる範囲でやる」という考えの元、「まずは、仕事と家庭を優先してください」と伝えてきました。そうしないと、活動のために何かが犠牲になってしまいます。その時に犠牲になるのは、引き受けた家庭の子ども達です。
【遠藤】今までのやり方を見直し、やれることをやれる人がやるという仕組みづくりを、みんなで考えていくことが大事ですよね。そこが変われば、「手伝える」というお母さんもいると思います。やりたくなければ、そもそも活動に興味を持たないですよね。
【黒木】聞いていて思ったのは、「好き」という気持ちです。「好き」は、「やりたい」、「ちょっとやってみよう」という気持ちにつながると思います。私の主人は、娘の学校の「サポーターズクラブ」の手伝いをしています。「子どもが学校に楽しく通うために保護者が手伝う」みたいな感覚で、手伝っています。そういったことをする人ではなかったのに、今は前向きに関わっています。
【遠藤】私も時間を割けない状況で、なぜ活動しているのか考えてみると、やっぱり「好き」という想いがあるからだと思います。そして、私の「好き」を支えてくれる家族がいるから、出来ているんだと感じています。今日も、祖父母に子どもの面倒を頼んで参加しています。
清水区蒲原とその周辺地区で活動しています。蒲原子育て支援センター(静岡市指定管理者)と利用者支援事業(静岡市委託事業)を行っており、令和5年11月に一時預かり保育施設「にじのへや」をスタートさせる。子育て中の保護者の方々に寄り添い、一人ひとりを大切にして、誰もが安心して自分らしく生きられる環境づくりを目指しています。
https://www.instagram.com/kosodatesupport_clear?igsh=b2d2bHpwd3lhemZq
プロによる生の舞台観賞(例会)と、自主的で創造的な体験活動(自主活動)で、子どもも大人も楽しんでいる非営利の会です。0歳から未就学児のための「おやこであっぷ♡ぷー」を担当。『親子のコミュニケーション方法と思い出作りのお手伝い』をモットーに、自分の子どもたちと一緒に楽しく活動しています。
https://www.instagram.com/shimizu_oyako?igsh=MTlxajBveHUxc2k0Nw==
男性の家事育児とPTAを支援する任意団体です。清水区のPTA役員経験者を中心に立ち上げた団体で、地域の子育て世代を学区や在籍に関係なく支援しています。PTA活動のサポートをしたり、親子で楽しめるイベントを開催しています。
https://ptaco.jimdofree.com
更新日: 2024/04/23 (火) 20:45