清水市民活動センターでは、「世代交代」をテーマに10月19日(土)に講座を開催します。講師は、NPO法人、団体の組織づくりの支援を行うNPO法人CRファクトリーの代表理事を務める呉哲煥(以下呉さん)氏です。現在の活動の原点が「静岡」にあるという呉さんに、静岡との関係、世代交代の難しい点、講座のポイント等をうかがいました。
ー 市民活動を始めたきっかけを教えてください?
呉ー 東京生まれ、東京育ちですが、進学で静岡大学に入学しました。そこで、友達に誘われて、ボランティアサークルAMIS(アミ)に入ったことがきっかけになります。活動の一環で、養護学校(現特別支援学校)の子ども達に勉強を教えに行きました。他には、静岡は障がい者の自立生活運動が盛んだったこともあり、地域に住んでいる筋ジストロフィーや脳性麻痺の方のヘルパーもしていました。このボランティア活動やコミュニティ活動で感じた『つながり』『居場所』が、自分にとって人生を豊かにしたり、明日も生きていきたいと感じさせてくれるものでした。私のベースにある「良いコミュニティを作りたい」という想いは、この静岡時代の経験があります。その方法として、『市民活動』や『NPO』があり、それらを作るお手伝いをしたいと考えるようになりました。
ー 本に掲載されている理論ができたのはいつですか?
呉ー CRファクトリーをはじめた時は、大学時代の経験だけで、何も持っていない状態でした。人と会ったり、懇親会などでコミュニケーションするのは得意だったので、NPOや市民活動、サークル活動を運営している方々に声をかけ、ひたすらワークショップをやりました。4~5人で1グループを作り、模造紙を広げて、「集客で困っていること」「ミーティングのやり方」「仲間の集め方」など活動する上での課題や方法を、付箋に書きながら喋ってもらいました。そして、その模造紙を持ち帰り、議事録にし、レポートとして参加者に送るという活動を2か月に1回の頻度で2~3年ほどやっていました。テーマを変えながら回数を重ねていく内に、「何に困っているのか」、「どんなノウハウがあるのか」が分かってきました。2012年に、現在の「コミュニティマネジメント塾」という全7回の連続講座が出来ました。
ー スムーズに運営できる団体、そうでない団体の違いはありますか?
呉ー 答えを1個に絞ることはできないです。でも、うまくいく団体、長く続く団体が持っている共通のポイントはあります。数百に及ぶ団体に、インタビュー、ワークショップ、講座、伴走支援をしてきたからこそ、そこは自信をもって言えます。
ー 呉さんをお招きし、「世代交代」をテーマにした講座を開催します。市民活動団体のバトンを渡す難しさは、どこにあるのでしょうか?
呉ー 団体の代表、リーダーのあり方・考え方が、団体の理念や価値観、文化みたいなものとほとんど同一になっていることが要因の1つとしてあげられます。特に、初代から2代目に引き継がれた時には、先代の特徴が色濃く反映されてることが多いです。
呉ー 講座で解説しますが、今年、来年と直ぐに引き継ぐことは難しいです。3年~5年間かけて、バトンタッチをする計画性が必要になります。特に、「同じものを引き継ぎたい」と考えている団体は、「人材の育成」と「バトンタッチの方法」の両方を考えないといけない。担い手を育成し、その中から有望な人にバトンを渡していくことを3年~5年かけて行っていく必要があります。もう1つは、2代目以降で変わっても構わないという覚悟をもって引き継ぐ方法です。団体は解散するけど、活動内容、ビジョン等はのれん分けみたいな感じで、3~4つに分けてやっていく方法もあります。講座で皆さんに考えてほしいことは、「急激に代替わり」したいのか「計画的に代替わり」したいのかという観点です。
ー 今度の講座で、その辺りの具体的な方法を掲示して頂けるのでしょうか?
呉ー そうですね。「バトンタッチ」する際の観点、フレームワークは用意します。それを使って、まずは「自分たちにとって最適な考え方・方法は何だろう?」ということを考えてもらいたいです。活動継承を考える際の最初の一歩として、フレームに当てはめたり、類型に照らし合わせてみてから考えた方がいいと思います。
更新日: 2024/10/25 (金) 10:39