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市民活動団体のバックオフィサーによる対談

 静岡市清水市民活動センター

【対談】「支える人を支える」から「たすかりあう関係」へ  ~市民活動のバックオフィスのあり方とこれからを考える~

ー バックオフィス(※)について教えてください。

山本ー NPOの事業とバックオフィスは、タイヤの「両輪」の関係だと思っています。どちらか片方が止まってしまったら、その場でくるくる回るだけになってしまいます。同じ速さでタイヤが回ることで、事業を前に進むことができる。どちらが欠けてもダメだと思いますね。

中尾ー バックオフィスに対して、「フロントオフィス」という言葉を使う人がいます。フロントオフィスは、事務局でも企画書づくり、助成金の申請書等の事業を前に進めるためのものです。対してバックオフィスは「守り」だと思っています。法令違反せず、組織が崩壊しないように守っている。

ー 組織の「土台」的なものだと思っていました。

中尾ー 土台的なところもありますが、法令違反で信頼を失い活動が止まるような事例をみると、「守る」という意義が強いと感じています。バックオフィスは、同じ国でやっている以上は、特定非営利活動促進法(以下NPO法)、税法等、同じ法律に基づいているので、どこの法人でも共通するはずです。

ー 関わり始めたきっかけを教えてください。

山本ー 僕が障害者協会に就職した時は、事務を担当する職員が他にいました。当時相談員として仕事をしていましたが、その方が退職することになり、相談と事務を兼務することになりました。徐々に優秀な相談員も増えてきたので、「事務を専任でやらせてもらいたい」と上司に志願しました。

中尾ー NPO法を作る運動が名古屋でも始まった時に、社会を良くしていきたいという人達に出会い、惹かれていきました。当時は、NPOの就職先が少なかったので、会計事務所でアルバイトをしていました。その時に、NPOで活動していた先輩から「会計がいないから手伝ってほしい」と声をかけられました。手伝っていく内に、別のNPO団体の会計担当者からも「相談に乗ってほしい」と言われるようになりました。会計事務所では「仕事ができない人」という扱いだったので、少しの専門性とNPOを理解しようという気持ちがあるとこんなに喜ばれるんだ、生きてていいんだと感じました。

ー やりがいを感じたということでしょうか?

中尾ー そうですね。NPO法人の会計基準を作る時も、全国から集まったNPO会計の関係者に出会い、更にやる気を持てるようになりました。「一人じゃないんだ」「みんな同じように孤立しながらやってたんだ」と感じられました。

山本ー その気持ちはすごく分かります。僕も一人だと感じていました。中尾さんの所属する「東大手(ひがしおおて)の会」の勉強会が浜松であると聞いて顔を出させてもらった時に「一人じゃない」と感じました。

ー 市民活動は「想い」から始まります。想いを形にする時に、事務は軽視されがちです。

中尾ー 以前は「想い」だけでも可能だったかもしれないけど、事務のような「形を整える人」と「想いのある人」がペアじゃないとやれないと思います。

ー 現場と事務の兼任が多いというのも特徴だと思います。山本さんのように「専任」としてバックオフィスを担えるのは珍しいですね。

山本ー 「協会を後ろから支えたい」という想いを今の会長が理解してくれて、副会長も分かってくれているから「専任」でできています。

中尾ー 団体が小さいうちは、パートでも良いから、専従でやったほうがいいと思います。福祉系の団体は、「人間が先、書類は後」になりがちです。「現場を知らないと、温度感が伝わらず、ただの作業になってしまう。だから兼ねてほしい」と言われますが、現場とバックオフィスに求められる専門性は違うので、1人に両方を求めるのは難しい。

ー 山本さんは以前「バックオフィスをやる若い人を育てたい」と言ってましたね?

山本ー 興味がある人がいたら教えたいけど、専任できる人がいないから難しい。ただ、僕みたいに気がついてないけど向いている人、興味を持ったらできる人はいると思うんです。

中尾ー 社会を良くすることに関わりたい人はたくさんいます。でも、困難を抱えている子どもを援助することはハードルが高い。その代わり、現場で向き合っている人をバックオフィスで支えることができる。「支える人を支える」ことで、もっとたくさんの子どもたちに支援を届けることができる。今は「支える人を支える」ではなく、「たすかりあう関係」と言ってます。助ける・助けられるじゃなくて「助かりあう」。

山本ー それはありますね。僕もお互いに助かりあうような関係性を築けたと感じています。静岡市障害者協会は、相談支援を通じて、障がいのある人とその家族を支援していく仕事です。支援する人たちを支援することにやりがいを感じられるようになりました。孤独ではあったけど障害者協会のバックオフィサーとして働いて良かったと感じられるようになったことは大きかった。

ー 「たすかりあう関係」は良いですね。市民活動団体に求められてきた「人材」にも関係する話です。

中尾ー 昔は、「何でもできる人材になろう」と思ってましたが、必ずしもそうではないのだと感じています。得意不得意のある人たちがチームになって、お互いを補いながら活動していく形の方が、団体は続いていくのではないでしょうか。最近はAIなどのツールも出てきて、業務を効率化できる可能性もあると思います。

ー 最後に一言感想をお願いします。

山本ー 清水市民活動センターには期待しています。バックオフィスの重要性を理解して今回のような特集を組んでくれたり、会計の相談日を設けてくれるのはとってもありがたい。事業化していることにとても感謝しています。

中尾ー 私達は団体運営に正解やあるべき姿があると思っていましたが、必ずしもそうではないと感じています。多様性の時代ですから、団体のあり方も多様で良いはずなんです。どうすれば自分たちがいきいき活動できる「チーム」になれるのか。そのヒントを得るために、他の団体の取り組みを知ることも大事だと思います。

更新日: 2026/04/21 () 10:22

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